法定実効税率の分母

マイナーすぎる論点であるが、法定実効税率の分母について考えてみた。


ご参考になれば幸甚です。


まず、法定実効税率の算式は以下のとおり。



この算式の分子は、合計税率と呼ばれるもので、その名のとおり各税率を合計したものである。


“課税所得”にこの合計税率を乗じると法人税等の概算値がだせる。


分子はわかりやすい。


分母はどうだろうか。


分母については、「事業税は損金算入されるから」と説明されていることが多い。


この説明もなんとなくわかる。


なんとなくわかるが、なんとなくしかわからない。


なんとなくしかわからないのは、「法定実効税率は、”税引前当期純利益”から法人税等の概算値をだすためのもの」という大前提がぼんやりしているからである。


まずは、この大前提を意識する。


次に、”税引前当期純利益”から法人税等の概算値をだすには、”税引前当期純利益”を”課税所得”に変換する必要があることを意識する。


分母は、この変換を行うためのものである。


(以下、変換の説明)

まず、以下の等式が成り立つ。(事業税以外の調整項目は無視)

税引前当期純利益-事業税=課税所得


ここから次のように導ける。

税引前当期純利益=課税所得+事業税

        =課税所得+課税所得×事業税率

        =課税所得×(1+事業税率)


ゆえに、以下のように変換できることになる。

課税所得=税引前当期純利益÷(1+事業税率)


ここに至れば、分母についても完全理解できる。

法人税等の概算値=課税所得×合計税率

        =税引前当期純利益÷(1+事業税率)×合計税率


法定実効税率の算式は、まず税引前当期純利益を課税所得に変換(分母)したうえで、合計税率を乗じている(分子)のである。



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